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KIJIMA TAKAYUKI: The Hat Maker

2019年06月26日

 

サンスペルは2019年春夏シーズンもハットブランドKijima Takayukiとのコラボレーションで新しい息吹を感じるセレクションを展開します。受け継がれるクラフトマンシップとモダンラグジュアリーにこだわる両ブランドにとってこのパートナーシップが始まったのはごく自然な流れでした。

 

20年余りに及ぶ帽子製作の経験から、ハットブランドKijima Takayukiは伝統的なシルエットに新鮮でモダンな美しさを重ね合わせます。デザイナー木島隆幸さんは自らの名前を冠したブランドを始動させるまで、帽子デザイン界の重鎮、平田暁夫氏のもとで帽子製作のテクニックを学びました。

 

A interview with KIJIMA TAKAYUKI


- 木島さんご自身について、そして帽子デザイナーになられた経緯について話していただけますか?

ずっとファッションが好きで、スタイルに関わらずクラシックなものから流行りのもの、パンクに至るまでいろんなものを着ていました。だからもし服のデザイナーになったらひとつのスタイルに絞らなくてはいけなくなると思って、それはしたくなかったので、帽子デザイナーになりました。それならいろいろスタイルを変えて楽しみながら仕事ができるでしょう。

帽子デザイナーになると決めて、1年間東京の帽子製作の学校に通いました。そこをまとめていらっしゃったひとりが世界的に有名な帽子デザイナーの平田暁夫先生でした。平田先生はオートクチュールの帽子作家で、先生の工房は非常にクリエイティブなものと同じくらいクラシックなデザインでも定評がありました。たとえば、上皇ご一家は平田先生の帽子を被っていらっしゃいます。

学校で帽子製作の基礎を学んで、卒業した時ちょうど平田先生の工房で人を探していたのです。もちろん名乗りを上げて運良く仕事に就くことができました。そして平田先生の工房で1991年から1996年にかけて5年間アシスタントとして働かせていただきました。当時の日本はバブルでたくさんのブランドが帽子を作っていました。ヨージ・ヤマモト、コム・デ・ギャルソン、イッセー・ミヤケといったブランドと仕事をすることができたのですが、こういったトップブランドは様々な素材やアイディアを持ち込んでくるので、柔軟さと即座に適応できる能力が求められました。多くを学んだ時代でした。

そして1996年に独立を決心して、自分のブランドを立ち上げました。

- 帽子のデザインと製作で特に何が好きですか?

素材、パターンを選ぶところから、どこにステッチを入れるかを決めるまですべてのプロセスが面白いです。このひとつひとつが帽子の仕上がりに大きな違いを生みます。サンプルは一から全部自分で作っているので、もし途中で気が変わったり、ステッチやパターンを変えたくなったら自分で好きなようにできます。それが楽しいですね。

- 英国の帽子産業はとても長い伝統と歴史を持っています。日本における帽子の世界も同じだと思いますか?

クラシックな帽子製作に英国と日本で違いはほぼありません。でも私が製作する帽子は他のどことも全く違うものです。Kijimaの帽子と他のものとの大きな違いにはふたつあって、まずオートクチュールの帽子の経験を生かしてコレクションの一部を私の工房で完全ハンドメイドで作っているということです。それ以外の帽子は外部の工場で作ってもらっていますが、多くのブランドが帽子工場に外注するのに反して、私は服の縫製工場に依頼しています。というのも、私は縫製工場に「帽子はこうであるべきだ、ああであるべきだ」という固定概念を持って欲しくないからです。そのおかげで、私はフレキシブル、更には自由でいられるのです。

- あなたの帽子製作におけるクラフトマンシップやテクニックについて話してくださいますか?大量生産と比較して、ハンドメイドの利点とは何でしょうか?

例えば、私の工房のハンドメイドのフェルトハットのブリムを見ると、ミシンで縫製したものとはステッチが違います。そしてブリムの下側を見るとハンドメイドのものはステッチが見えませんが、ミシン縫いの製品には見えます。手縫いの場合もっと正確で丁寧なステッチが可能になるのです。それにハンドメイドだとブリムのステッチがふっくらとしていてソフト、そして柔軟になります。帽子職人はみんなこのテクニックをウィメンズの帽子のために使いますが、私はメンズの帽子にも使うのが好きです。メンズの帽子にはがっちりとしたハードなものが多いのですが、私のメンズの帽子はソフトです。

- サンスペルとのコラボレーションのきっかけを話してくださいますか?

サンスペルのバイヤーが展示会で私のブースを見つけて買い付けてくれるようになりました。そしてニコラス・ブル-クさん、サンスペルのCEOが気に入ってくれて、私の帽子がサンスペルの顧客層によく合うと感じてくれました。そこからコラボレーションで何かしてみよう、という話になったのです。その頃すでにヨーロッパの展示会に出ていましたが、まだ私の帽子は広くは知られていませんでした。

サンスペルとの仕事は楽しいです。歴史とオーセンティシティーを感じつつも、モダンな解釈があり、そういったものをリスペクトする私のコンセプトと共通しているのです。サンスペルの持ち味を理解しながら、それをベースに私自身のDNAを注ぎ込んで、うまいバランスでユニークなアイテムを作ることを楽しんでいます。

- サンスペルではすべてのアイテムにとって糸や素材が非常に重要な出発点となります。この春夏の Sunspel x Kijima Specialで使っているペーパー素材について話してくれますか?

この素材は私のサマーコレクションにとってとても重要なものです。軽く、強靭で通気のよいペーパーファイバーを100%使っています。その素材をどのようにコレクションで活かすかを研究して、たたんだり丸めたりできるとわかったのです。これなら旅行に出かける時バッグに入れても大丈夫だし、広げるとすぐに形が元に戻ります。そしてサンスペルのDNAを加えるため、春夏コレクションから2種類のグレーをリボンの色に選びました。

- 木島さんの帽子のデザインは将来どうなっていきますか?他のユニークな素材を試していくのでしょうか?

私の帽子の見方はこうです:まず現在の服の流行を見て、考えるのです。「次の服のコレクションにはどんな帽子が合うのだろう?」単に帽子が大きいとか小さいとか、ブリムが広いか狭いか、ということではありません。「なるほど、デザイナーはみんなこういう服を発表している、世間の人たちはこういう着こなしをしている。じゃあ、こういう服にはどんな帽子がカッコよくて、売れそうかな?」こういう考え方です。だから、まず服のマーケットを見る必要があって、それから決めるのです。ものの見方はとてもシンプルです。どんなに素敵な帽子があっても、自分のワードローブに合わなければ誰も買わないでしょう。

サンスペルとのコラボレーションで今はペーパーファイバーに注目していますが、将来的には冬のコレクションにも目を向けて新しい素材を考えていきたいですね。これからもコラボレーションを続けて一緒に素晴らしいアイテムが作れたら、と思っています。

Kijima Takayukiのアイテムはサンスペルの各店舗とオンラインショップでお買い求めいただけます。