An Interview with
Hirofumi Kiyonaga

2021年3月26日

東京発のリアルクローズブランド〈ソフネット〉と協業した〈SOPHNET. AND SUNSPEL〉から、
ご好評いただいているスウェットウェアに続きTシャツ2型(各4色)とタンクトップが新たにリリースされます。
そこで今季初めて実現したコラボレーションへの思いを、〈SOPH.〉代表の清永浩文さんに語っていただきました。

清永浩文〈SOPH.〉代表
時代に寄り添った普遍性を
追求したい

Photography:Shunya Arai(YARD)
Interview & Text:Kai Tokuhara

2021SSコレクションにおける〈ソフネット〉と〈サンスペル〉のコラボレーションの実現は、実は元をたどると〈ソフネット〉を含めて3ブランドを展開する〈SOPH.〉代表の清永浩文さんと〈サンスペル〉の出会いに起因する。現在から遡ること30年。清永さんがまだ自身のブランドをスタートする以前、〈A.P.C.〉で仕事をしていた頃の話だ。

———「上京して、’91年に日本初の旗艦店のオープニングスタッフとして〈A.P.C.〉に入ったのですが、実はそこで〈サンスペル〉のアンダーウェアをセレクトしていたんですよ。アイテムは最も定番的なTシャツやメッシュのタンクトップ。今でこそブランドストアがそのようにセレクトものを置くのは珍しいことではありませんが、“自分たちが作れないものは仕入れる”というスタンスは当時の〈A.P.C.〉が先駆けだったように思います。初めて買った高級インナー。それが僕にとっての“ファースト・サンスペル”でしたね。それまで着ていたインナーと比べてこんなに肌感のいい素材があるんだと感銘を受けたのを覚えています。2000年代以降はいろんなブランドから上質なインナーが世に出てきた印象ですが、90年代の初頭というのは〈サンスペル〉のようにただ下着としてだけでなく普通にファッションとして着られるインナーウェアはほとんどなかったように思います」

そのような知られざる出会いを経て、’98年に〈SOPH.〉を立ち上げてからは奇しくも〈サンスペル〉のお膝元であるロンドンとの関係も深まっていったという清永さん。翌’99年にスタートしたブランド〈F.C.Real Bristol〉も、架空のフットボールクラブを表すその名称はイングランドのフットボールカルチャーや同国西部ブリストルに根付く独自の音楽カルチャーから強いインスピレーションを得たものだ。

———「元々音楽もサッカーも英国系が好きでしたし、ファッションとそこに通じるストリートカルチャーに関しても、やはりニューヨークよりロンドンのテイストに惹かれることのほうが多かったです。だから必然とブランドを始めてからはよりロンドンに行くことが多くなったんですよ。そんな中、リブランドされた現在の〈サンスペル〉のショップを覗く機会が増えたのは10年ほど前からでしょうか。出会った当初よりもコンテンポラリーな印象を持つようになりましたし、現代のロンドンの街に馴染むベーシックブランドというイメージが次第に強くなっていきましたね」

「負けを認める」ことから、
良質な協業が生まれる


ブランドスタートから一貫して「リアルクローズ」を掲げている〈ソフネット〉と、イギリスにおいて150年に以上にわたって上質なデイリーウェアを作り続ける〈サンスペル〉。ともに都市生活をより機能的かつ快適に過ごすための日常着を追求している点で、両ブランドの間にはどこか共通するもの作りへのこだわりがあるのではないだろうか。

———「僕自身としては〈サンスペル〉の“ロンドン感”と〈ソフネット〉の“トーキョー感”に共通項があるのかどうかはわかりませんが、少なくとも〈サンスペル〉にこれぞイギリスのリアルクローズというイメージを持っていますし、ブランドから漂う空気感は出会った頃から今に至るまで変わらず好きですね。余談ですが、今回の〈ソフネット〉の前に、〈サンスペル〉がポール・ウェラーとコラボレーションしているのを知って、やはり歴史あるブランドの凄みを感じましたね」

そして今回のコラボレーションアイテム。ソフトな吊り裏毛を用いたスウェットウェアに、「Q82」のTシャツ、「セルラーメッシュ」のタンクトップと、全てのアイテムが〈サンスペル〉を代表する定番アイテムがベースになっており、サンスペルフォントでアレンジしたSOPHNET.ロゴや1930年代のアーカイブタグ「SUN AND CLOUDS」をモチーフにしたコラボレーションネームがアクセントになっている。そのようなアプローチにも、清永さんの〈サンスペル〉へのリスペクトが込められている。

———「うちはコラボする際に相手先のフォントでロゴを作ってもらうことが多いんですよ。より共同作業感が出ますし、“向こうに入っていく”ことでそのブランドの色に馴染んでいきたいと言いますか。良いものは良いと、“負けを認める”ことも〈SOPH.〉の美学ですから。アイテムも奇をてらわずベーシックなものがほとんどで、今回もロゴやタグを入れてもらっていますが基本は〈サンスペル〉のインラインにある王道的なアイテムがベース。例えば今回のコラボウェアを気に入って3年、5年と着てくれる人がいたとして、そういう人たちが着古したからそろそろ新しいものに買い替えたいと思った時に〈サンスペル〉のショップに行けば同じ作りのウェアが買える、ということを一番大事にしたかったんです」

この時代だからこそ、
服に「より良い快適さ」を


清永さんは今回のコラボレーションウェアを手がける上で、「時代が求めるライフスタイルの変化」という点にも着目。特にこれまで〈サンスペル〉のウェアに馴染みがなかった層に向けて、より良いリラックスウェアを提供したいという思いが強かったそうだ。

———「〈ソフネット〉には若い頃から一緒に年齢を重ねてきた顧客さんが多いのですが、彼らのほとんどが当時20代でしたから、今や必然的に40代のお客さんが多くなっています。だからこそ、年代的にも、〈ソフネット〉を好きで着続けてくれている人たちにあらためて肌あたりの良いインナーというものを今回のコラボレーションを通して知ってほしかったという気持ちが大きい。特に今はコロナ禍によって家で過ごす時間が増えています。そこをより快適にしてほしいという視点で、リラックスできるルームウェアでありながら外着にもなるパッケージを提供して“実はこういう豊かさもありますよ”と提案したかったんです。そういった意味でもこのタイミングで〈サンスペル〉とコラボレーションできたことは非常に意義があったと感じています。もちろんブランドとしてだけでなく、個人的にも〈A.P.C.〉時代から思い入れのあるタンクトップを今回作らせていただけたことは非常に嬉しかったですし、クルーネックのスウェットなどは本当によく着ていますね」

〈SOPH.〉では、〈ソフネット〉の他にフットボールを軸にしたライフスタイルスポーツウェアを発信する〈F.C.Real Bristol〉、様々なカルチャーをベースに実験的なワードローブ作りを手がける〈ユニフォーム エクスペリメント〉も展開。しかしクリエーションの軸はやはり〈ソフネット〉。普遍性こそ、清永さんが最も大切にする要素だからだ。

———「〈ソフネット〉は3ブランドの中で最も普遍的なベーシックラインであり、常に自分自身も回帰する場所。〈サンスペル〉がそうであるように、いつ何時も変わらない、ファンが求める時に必ずそこに存在する。そんなブランドであり続けたいですね」

SOPHNET. AND SUNSPEL
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清永 浩文 Hirofumi Kiyonaga
1967年大分県生まれ。〈A.P.C.〉を経て1998年に「洗練された日常着」をコンセプトに〈SOPH.〉を設立(2002年にSOPHNET./ソフネットに改名)、翌1999年に架空のフットボールチームを想定した〈F.C.Real Bristol〉を、2008年にはメンズウェア(ユニフォーム)の実験的プロジェクト〈uniform experiment〉を開始するなどチャレンジングな戦略でシーンを牽引している。2017年からは自身の名を冠したパーソナルプロジェクト〈KIYONAGA&CO.〉を開始、福岡市での実店舗を経て2020年11月からはオンライン限定で展開している。
https://www.soph.net
https://kiyonagaandco.com/

Special thanks to Koichiro Yamamoto