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トーマス・A・ヒルとサンスペルの起源

2016年9月9日

サンスペルの製品を購入しよう、もしくは店に置こうと思う決定的な理由を尋ねたら、クォリティーの高さ(それは純粋な日常着から、その高い美意識や長年の素材開発まで多岐に渡ります)を例に挙げることでしょう。けれどそれが、サンスペルの前身、トーマス・A・ヒル社によって神聖化されて今日に至る信条だと知っている人は多くありません。

この社名が創業者トーマス・A・ヒルに由来しているのは言うまでもありません。彼は「量よりも質」という現在なら多くの企業がモットーとする価値にいち早く目をつけていました。そしてパイオニア精神に溢れるヴィクトリア朝真っ只中の1860年、最高級のコットンを輸入するチャンスに恵まれ快適で持久性の高い紳士肌着生産のための会社を設立したのです。

もちろんヒル氏が繊維業界の急成長を目の当たりにするのは初めてではありませんでした。というのもヒル氏は30歳代の19世紀半ば、ノッティンガムのI&R Morley社をパートナーに事業を起こし頂点を極めたことがあったのです。I&R Morley社は当時英国内の肌着やストッキング、ニットのマーケットをリードしていた企業で 、ヒル氏の繊維業界革新への熱意は彼らを動かし、技術学校の設立資金のための寄付金を誓約させたほどでした。

初期のトーマス・A・ヒル社は 総勢500人の従業員を動員し、しなやかで持続性の高いライルコットンを素材に開発した軽量高級ストッキングを製造していました。創業者の指導のもと、ノッティンガムのニューディゲイト地区に工場を構え、素肌に直接着用しても快適な製品のデザイン、製造の革新に定評を得ていたのです。

その後「長老トム」が彼の息子に遺した会社はアンダーシャツやチュニックからシングレットやアンダーウェアへとますます品揃えを広げることになります。そして20世紀の幕開けまでに創業者の願いに応えるように新興の極東市場への投資とともに中国、インド、マレー半島への輸出を始めていました。
時は流れ、ノッティンガムからロングイートンに生産拠点が移転、社名も変更されます。サンスペルの誕生です。

常に伝統技術とモダンなセンスを合わせながらメンズ、ウィメンズの両方で高品質のベーシッククロージングを作り続けるサンスペルの陰に創業者トーマス・A・ヒルの功績があることに疑いの余地はありません。たゆまない素材開発から新製品、素晴らしい店舗、そして多様なコラボレーションまでサンスペルの現在を見てもらえたら、休みを惜しんで働き続けたかの野心家は誇らしい気持ちで胸がいっぱいになることでしょう。