SUNSPEL MEETS
STUDIO NICOLSON


内なる心地よさ

2021年7月29日

表と裏

ひとには見せない部分。そんな内なる領域をさりげなくキープしておくことで保たれる心の平穏がある。テニス選手が試合の途中にタオルをかぶってイヤホンで好きな音楽を聴いている時間。隠しているわけではないけれど、家族とも恋人とも共有せず、なんとなく心に仕舞っておくことにした個人的な出来事。秘すれば花。いや、花とまでは言わずとも、日常のなかにあるひとりの時間や内なる感覚は、都市でヘルシーに生きるために必要な余白なのかもしれない。

洋服にも二面性がある。これはなにも難しい話ではない。身体を包む洋服には、表現をする外側と、生地をめくらなければ見えない内側がある。周囲から見られる表地と、着るひとの肌にじかに触れる裏地のことだ。

長所の異なる2つの生地の掛け合わせ

東京を歩く二人の男女が着たのは、ブラックとミルクという限られた色数で展開されるスウェットのセットアップだ。このスウェットの表地と裏地には思いがけないギャップがある。表地は滑らかでフラットな質感に仕上げ、一方裏面は起毛がかけられてふんわりしている。高い保温性といった機能はもちろんコットン100%の起毛生地はとても気持ちがよく、精神にも安らぎをもたらすかもしれない。均質な生地感の上品さ。しかし、裏起毛でコンフォータブル。異なる長所の掛け合わせによって、見える部分と見えない部分とのあいだには、さりげない差が生じているのだ。

現代的なデザイン

スタジオ ニコルソンのデザイナー、ニック・ウェイクマンは、160年以上にわたって肌に寄り添ってきたサンスペルとのコラボレーションについて「ファブリックの高い品質を出発点にした」と語る。今回のコットンフリースはサンスペルのインラインには存在せず、コラボレーションのために生まれた素材だ。彼女は、平面の布を立体的に仕上げる絶妙なダーツの配置やテクニカルなパターンメイキングにより、身体をおおらかに包みこむほどよいオーバーサイジングを実現した。幅の広いリブ、肩の切り替え線といったディティールでメリハリを効かせ、都市に馴染む構築的な雰囲気のスウェットをつくりだした。

ひとりの移動時間。人工物に囲まれた都市のなかでふと内省的になる。なにかとなにかのあいだにある空白の時間。学校、仕事場、家。行き慣れた目的地へ向かうさなかにも、まだ歩いたことのない道がある。ナビゲーション通りの最短ルートではなく、目を閉じても感じられる心地よさを着て、今日はなんとなくこっちの道を歩いてみる。

Creative Direction | Koichiro Yamamoto
Photography|Hiroko Matsubara
Styling | Yuriko E
Hair & Make-up | Rumi Hirose
Cast | Hanaco, Yuta Nakazawa (friday)
Text | Yoshikatsu Yamato (kontakt)

Sunspel and Studio Nicholson
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スタジオ ニコルソン創設者、「ニック・ウェイクマン」インタビューは こちら