シーアイランドコットンの物語

世界で最も稀少で高品質のシーアイランドコットンから、最高に柔らかくラグジュアリーな生地が誕生します。 その物語をご紹介します。

ジェームズ・ボンドも、その生みの親である作家イアン・フレミングも、品質の高いものを生活に取り入れて人生を楽しんでいました。シーアイランドコットンもそのひとつです。世界のどこにいても、ボンドもフレミングもこの贅沢な生地で作られた服を好んで着ていました。それは賢い選択だったと言えます。というのも、上質で均一の質感とシルクのような光沢感があるこのシーアイランドコットンは、最高に柔らかく快適な最高の肌触りの生地であると同時に、最も耐久性の高い生地だからです。最高品質のシーアイランドコットンで作られた服はとても長持ちで、サンスペルの哲学である「無駄のない贅沢」を反映しています。

今日、シーアイランドコットンは紛れもなく最高品質かつ最も稀少なコットンであり、だからこそサンスペルは多くの製品に採用しています。サンスペルではニットウェア・ポロシャツ・シャツ・アンダーウェアなどにシーアイランドコットンを使用し、贅沢なアイテムを展開しております。


撮影現場のイアン・フレミングとショーン・コネリー
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シーアイランドコットンが特別である理由

世界のコットンの年間総生産量は約1億ベール(約226億キロ)です。そのうち200万ベールが、繊維の長さが34mm以上の超長綿として知られるコットンです。綿の繊維が長いほど上質な生地ができます。シーアイランドコットンもその超長綿のカテゴリーに入りますが、年間の生産量は150ベール(約34,000キロ)のみです。このことからも非常に稀少で価値のあるコットンだとわかります。お茶に例えると超高級ウーロン茶、大紅袍(Da Hong Pao)に相当します。

細くて長い繊維を紡ぐには熟練した技術が必要ですが、紡績作業を経るとその繊維は最高に柔らかくシルクのように滑らかで光沢感のある最高品質の生地に生まれ変わります。

シーアイランドコットンの起源

アメリカサウスカロライナ州沖の島々にちなんで名づけられたシーアイランドコットン(Gossypium barbadense:ゴシピウム・バルバデンセ種)ですが、このコットンは15世紀からカリブ海の島で栽培されてきました。ところが、このコットンの起源はさらにラテンアメリカまで遡ることができるのです。放射性炭素年代測定によれば、シーアイランドコットンは6000年以上も前にエクアドルやペルーの沿岸で栽培されていたことが明らかになりました。実に驚きの起源です。


Gossypium barbadense plant(ゴシピウム・バルバデンセ種)の綿の実


カリブ海地域の地図(サンスペルアーカイブより)

 

サンスペルとシーアイランドコットン

サンスペルとシーアイランドコットンは長年に渡りに密接に関わっています。私たちは1800年代にシーアイランドコットンで衣類を作り始めました。そしてラグジュアリーなシーランドコットンアンダーウェアとシャツを作る専門メーカーとして、世界的に有名になったのです。また、サンスペルはシーアイランドコットンを使ってTシャツを作った初めてのブランドでもあります。従来、作業着と捉えられていたTシャツが、ラグジュアリーなアイテムに生まれ変わったのです。

実はサンスペルという社名はシーアイランドコットンの生産から発想を得たものでした。創立から数十年間はビクトリア朝時代の習慣に沿い、創業者の名前を冠して「トーマス・A・ヒル・リミテッド」という社名でした。20世紀に差し掛かるころに彼の息子であるもうひとりのトーマスが事業を引き継ぎ、シーアイランドコットンの専門メーカーとして展開しました。ある日彼は変革の一環で、人々の興味を引き、かつ心に残るような新しい社名、新しい言葉を考案するということを思いついたのです。そして現代で言うところのブランド名を作り出しました。

サンスペルという名前は、シーアイランドコットンの栽培に必要な、太陽の光と突然ドラマティックにはげしい雨がカリブ海地域の完璧な組み合わせの気候からインスピレーションを得ています。激しい雨の合間に見られる美しい「sunny spell(ひと時の晴れ間)」を社名にしようと思いついたのです。

シーアイランド―失われかけた稀少なコットン

シーアイランドコットンは1700年代に栽培が始まり、以来ごくありふれた品種でした。ところが20世紀初めにゾウムシ(甲虫の一種)がカリブ海地域とアメリカで大発生したために、綿花地帯は壊滅的な被害を受けました。

しかし深刻な事態の中、綿花の専門家たちによる懸命な努力のおかげでシーアイランドコットンは絶滅の危機を免れたのです。生き残った種子が保存され、慎重に栽培されて、この稀少で貴重なコットンは後世に残されました。

シーアイランドコットンの栽培地

シーアイランドコットンは、現在も専門家の手に委ねられています。日光と雨と湿度の組み合わせが最適なアンティグア、バルバドス、ジャマイカなどのカリブ海の小さな島々で専属の専門家が栽培を行い、手摘みしています。各年の収穫が終わり梱包されると、シーアイランドコットンの専門技術を持つ世界でも数少ない紡績工に送られます。今後もシーアイランドコットンは稀少な農作物であることに違いはありませんが、未来は保証されています。

サンスペルが採用するシーアイランドコットンは、スイスにある専門紡績工により織られており、世界最高品質を誇ります。


シーアイランドの繊維


サンスペルのシーアイランドボクサーショーツ

 

シーアイランドコットン ― 理想のつながり

長い間、シーアイランドコットンは最高品質の衣類と結びついていたため、その人気は英国の上流階級の人々や英国王室により保証されていました。ビクトリア女王はシーアイランドコットンのハンカチーフを好んで使い、デリケートな鼻を押さえるための商品基準を作りました。女王のお気に入りであったこと、稀少なコットンの価格、栽培の難しさなどの要素が重なり、比類のない魅力的な商品になったのです。

1958年にコリン・テナント(三代目グレンコナー男爵)が45,000ポンドでカリブ海のムスティーク島(現在はプライバシーを求める人々が集まる高級リゾート地)を購入した際、その島には当時存続の危機にあったシーアイランドコットン農場がありました。テナントがムスティーク島という名を世に知ってもらうべく最初に実施したことが、コットン農場の基盤を固めることでした。彼の未亡人アン・グレンコナー男爵夫人は回顧録 Lady-in-Waitingの中で、テナントは農場で収穫された驚くほど柔らかいシルクのような高品質のコットンを非常に誇りに思っていたと記しています。ムスティーク島の自宅では、テナントは農場のシーアイランドコットンを使って作らせたパジャマスタイルのスーツを着ていることが多かったようです。


ビクトリア女王はシーアイランドコットンのハンカチーフを好んだ



シーアイランドコットンシリーズの切手、セントクリストファーネイビス&アンギラ、1963年頃(画像:Shutterstock

 

ジェームズ・ボンド、イアン・フレミングと魅力的なシーアイランドコットン

シーアイランドコットン愛好家の中で最も知られているのは、ほぼ間違いなくジェームズ・ボンドでしょう。ボンドの生みの親であり小説家、元海軍諜報員でもあるイアン・フレミングは、コットンと深くつながりのあるカリブ海の島ジャマイカにある「ゴールデンアイ(GoldenEye)」邸宅および地所を1946年に購入しました。この地をフレミングは熱帯地域の邸宅として30年間所有しました。ジェームズ・ボンドシリーズの小説、全14作品を書き上げたのもこの邸宅です。フレミングは、特にゴールデンアイ滞在中にはシーアイランドコットンの服を好んで着ていたため、それをボンドのお気に入りに選んだとしても不思議はありません。

世界で最も有名なシークレットエージェント、ジェームズ・ボンドは『007/ムーンレイカー』、『007/ダイヤモンドは永遠に』、『女王陛下の007』の中で、シーアイランドコットンシャツを着ています。そして『007/黄金銃を持つ男』ではスポーツ用のシーアイランドコットンのボクサーショーツを着用しています。


ダニエル・クレイグに仕立てられたリビエラ・ポロシャツの型紙

ジェームズ・ボンドのサンスペルとの出会い

2006年、サンスペルはアカデミー賞受賞歴のある衣装デザイナーのリンディ・ヘミングと協力して、『007/カジノ・ロワイヤル』でボンドを演じるダニエル・クレイグが着用するカジュアルな衣装を作り上げました。私たちは1950年代から作り続けてきたポロシャツを、クレイグの体に合わせて胸周りを細身にし、袖を少しだけ短く修正しました。そうすることで彼の体格を強調し、アクションシーンでキレのある動きが容易にできるようになったのです。ハンサムで落ち着きがあり、無理なくスタイリッシュなリビエラ・ポロシャツは、ジェームズ・ボンドの魅力と重なる部分が多いです。

ダニエル・クレイグがボンドを演じた最後の作品『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』を記念して、2020年にサンスペルはシーアイランドコットンのリビエラ・ポロシャツを2つのバージョンで特別に発売しました。今までにない滑らかさと柔らかい肌触りが特徴のポロシャツです。

女性のためのシーアイランドコットン

サンスペルは女性向けの服作りをする際にも、デザインおよび技術に対する価値観はメンズウェアと全く変わりません。最高品質の生地を使うという信念も同様です。

サンスペルのウィメンズシーアイランドTシャツは着る人を引き立てるクラシックなデザインで、格別な柔らかさと真の耐久性を備えています。ファストファッションの使い捨て文化とは対極的な考えです。

サンスペルのシーアイランドコットン ― SIMPLY THE BEST

シーアイランドコットンの優れた品質をすでに理解されている人にとっては、近年シーアイランドコットンが遂げた素晴らしい復活はそれほど驚きではないのかもしれません。しかし、評価されるのは適切な品質のシーアイランドコットンであるべきです。世界で生産される高品質な生地の中でも、すべてのシーアイランドコットンが同様の品質を維持しているわけではありません。サンスペルは、男性にも女性にも、そして眼識のあるシークレットエージェントにも第一に選ばれる、最高品質の真のシーアイランドコットンを使った衣類を作っているのです。


メンズシーアイランドコットンTシャツ(白)

シーアイランドコットンのリビエラ・ポロシャツ

 

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