自分の身に起きた出来事が、
服のディティールに表れる。

スタイリスト私物 インタビュー

2022年10月21日

アウターやニットが必要な季節だけでなく、
夏場の冷房が強くかかった室内では、長い袖が役に立つ。
肌に触れるその一枚があるだけで、日常の「着る」が快適になる。
これまでにも、他のブランドと協業してロンTを作ってきた
〈スタイリスト私物〉こと山本康一郎。

そのいずれにも共通したのは、首や袖口、そして腰にリブがあること。
10月26日に発売となるロンTの細かいディティールに対する美意識や、
多くのひとの私生活に寄り添うプロダクトを作り出すプロセスを聞いた。

プライベートなメッセージであっても、仕事に関する急ぎの連絡も、山本康一郎のLINEは決まって挨拶からはじまる。「おはよう」。いきなり本題に入らず、まず挨拶。撮影現場でもそうだ。撮影が終わってスタジオを出るときにもスタッフへの声かけは欠かさない。なぜそうしているのか。礼儀とは違う理由があるという。

「挨拶がカギ括弧みたいになって、その時間を残しやすくなる。相手にだけではなく、場所にもしているんです。武道では、道場を出るときにありがとうございますと頭を下げます。何をやってんだと思うかもしれないけれど、すると気持ちがいいんですよ」

もちろん、自身の習慣をプロダクトに直接反映するわけではない。しかし、これまでの〈スタイリスト私物〉を振り返ると、洋服以前にある自身のクセや作法が、プロダクトのディティールに出ていると感じられるのだとか。今回のロンTで言えば、絶妙な幅で首のカーブに寄り添うネックリブ、袖口、腰のリブなど、服の輪郭を引き締めるパーツの仕上げだ。

「文章にたとえれば、首のリブは書き出しの1行目で、腰は句読点。本には表紙とタイトルがある。それが顔だとして、開くと、最初の1行でぐっと引き込んでくる文章ってありますよね。おいおいおい……、と。そして丸を打って文を締める。顔の下にすぐあって体から生えている首は、その人の情報として強く入ってくるパートで魅力もさまざま。スタイリングにおいても人物像を決める大事なポイントです。だから首もとの着心地はすごく気にしています。そして、シルエットを引き締めるのが腰のリブです」

ところで、サンスペルと〈スタイリスト私物〉のロンTは、どのように発想されて制作されたのだろう。山本は、理想的なデザインの基準や、原型となる過去の名作などはないと話す。サンスペルの日本企画を担っているデザイナーの河合由起と互いの長所や目指したい方針を話し、または、想像をめぐらせながら、具体化されたプロダクトをすこしずつ調整する。今回特別に選ばれたインドの超長綿スビンを使った中厚手の生地は、自然な光沢感を持ち、オニキス(黒)、チョークホワイト(白)、ミッドナイト(ネイビー)の3色で展開される。

サンプルのやりとりは、だいたい3回で決着がつく。山本はサンプルを受け取ったらすぐに修正を出すのではなく、日々、自ら着用して洗濯をする。着て過ごす日常の場面が増えて、気温は移り変わり、羽織るアイテムが変化する。ニットの下に着たりジャケットに合わせたり。さまざまなシーンで、私物のボトムスやアウターとの兼ね合いを探っていく。

「今の自分で測る、が基本です。たとえば、上からニットを着たときに首の付け根の鎖骨あたりにニットが触れるのは苦手なんです。それにネックが浅いものはスースーして落ち着かない。ポーチを首に引っ掛けるとき、紐が直接触れないのも都合がいい」

そうしてプロダクトをふるいにかけ、完成形に近いサンプルが出来上がる。山本はさらに、普段から魅力を身近に感じている人たちが着ることを想像する。身につける人の私生活に寄り添えるのか、彼らが好んでくれるのか。自分だけのニーズにとどまらない服にするための心掛けだ。

「日常の場面のなかでどれだけ実践的かをいつも考えています。あとは、技術を持った作り手が〈スタイリスト私物〉について考えてかたちにしてくれるのがコラボレーションの楽しいところ。サンスペルと一緒につくるものは、オーディナリーな日用品でありたい。どんな服のなかにも収まってくれるロンTは、これまでに自分の身に起きたことが自然とディティールにつながって出来上がったと思います」

RIBBED CUFF/COLLAR/HEM T SHIRT
10月26日(水)11:00 am
公式オンラインストア限定発売
【ご好評につき完売しました】

カラー|ONYX, CHALK WHITE, MIDNIGHT
サイズ|S M L XL
価 格|¥17,600(税込)

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■ 注意事項
※10月26日(水)午前中はアクセス集中により、繋がりづらくなる可能性がございます。予めご了承ください。
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※本商品はサンスペルの公式オンラインストアのみの販売となります。
※各色一点のみのご購入とさせていただきます。
※転売目的でのご購入はご遠慮ください。
※数量限定のため、なくなり次第終了となります。
※こちらの商品に関してのお問合せは、店舗ではなくオンラインストアのお問い合わせフォームからご連絡いただきますようお願いします。

スタイリスト私物 @stylistshibutsu
スタイリストの山本康一郎が、自ら愛用するブランドやメーカー、アーティストと協業をして展開するレーベル。

山本康一郎
1961年京都生まれ、東京育ち。大学時代からフリーエディターとして活動をはじめ、雑誌や広告、CMなどメンズスタイリングを手がけるほか、ブランドのディレクションにも携わる。2016年、2018年にはクリエイティブディレクターとして2度のADC賞を受賞。

Photography|Mitsuo Okamoto(model), Satoshi Yamaguchi(still)
Model | SEAN
Text | Yoshikatsu Yamato(kontakt)